being qua being

情報的な何かと政治的な何か

【社会学は物理学と似ている!?】シュナイト・ウェロンが考えた社会モデル

社会物理学という分野をご存知だろうか。人間社会も統計力学で扱われる物理現象と同じように扱うことができるというアイデアに基づいた非常にユニークな研究だ。

例えば、人間と粒子に共通する性質として、隣の影響を受けやすいという性質がある。ある粒子の動きが周りにある他の粒子の振る舞いに左右されるように、誰かの行動や思考が他の誰かの行なっていることに左右される場合がある。

物理学者であるシュナイト・ウェロンは、群集の行動と統計力学に出てくる相転移には似たところがあると感じた。(難しい単語が出てくるが、要するに物理学と社会学は似ているということに気づいたのだ!)

社会は集団としての人間の行動を反映しており、一方磁力は集団としての原資の行動を反映しているから、社会の磁力について語ることには意味がある。

そこで彼は社会的な意見を巡って、モデルを作ることにした。数学的に扱えるよう単純なアプローチを用いた。電子のスピンの方向の代わりに、人々が何かの問題についてイエスとノーのどちらかの立場を取るとする*1


まず、片側にだけ家が建ってる一本の長い通りを想定する。それぞれの家は番号で区別され、カクトがひとつの意見を持っている。YESは+1、NOは-1である。はじめのうち、意見は全くランダムに分布している。それから、それぞれの家が毎日隣をチェックした上で、単純な規則に基づいて意見を変えていく。

まず、隣り合った2件を考える。例えば10番と11番の家とする。それぞれの家にはもう片方の隣の家(9番、11番)がある。シュナイト・ウェロンのルールによると、10番と11番が同じ意見なら、9番も12番も両方共同じ意見になる。しかし10番と11番の意見が食い違っている場合は、9番は自分の意見を11番の意見に合わせ、10番は12番の意見に合わせる。

数学的に表せば、(Siを10番の家、Si+1を11番の家のように考えると)

Si=Si+1であるなら、Si-1=Siかつ、Si+2=Si
Si=-Si+1であるなら、Si-1=Si+1かつ、Si+2=Si

1千軒の家がある1本の通りにこのモデルを適応してシミュレーションを行ない、1万日以上の間にどのように変化していくかを観察した。すると、始めに意見がどう分布していようと、最後には、この通りの状態は安定した3つの状態のどれかに落ち着いた。

すべての家がYESとなるかすべての家がNOとなるか、あるいは半々に割れるかである。


しかしながら、この世の中に、独裁でも膠着状態でもない社会が存在することから見ても、このモデルは現実社会の複雑さを反映しているとは言えない。しかし、だからといってこのモデルが無意味だというわけでもない。

このモデルから逆に、社会における意見形成には、お隣同士の局地的相互作用以上のものが絡んでくるとわかる。それを「未知の要素」と考えてみよう(ノイズのことである)。これを「社会の温度」と考えると、個々人は近傍ルールを無視して、ランダムに意見を選ぶ確立が高まるということがわかる。

しかし、そうは言ってもあまりにもシンプルで役立ちそうはない。そこでディートリッヒ・スタウファーは格子点上に人間が配置されるモデルを考えた。

つまり1人の人間の周りには4人のお隣さんがいて、2人の人間には6人のお隣さんがいて、4人の人間には8人のお隣さんが居る。

ルールとして、4人のブロックの全員が同じ意見を持っていた場合に限って、隣の8人の意見を変えることができるとしてみたり、隣り合う2人のスピンが同じなら、隣り合う6人のお隣さんのスピンも変えられるとして見ることもできる。

こうして、シミュレーションを行うと様々な状況を再現することができる。

*1:Sznajd-Weron, K. (2005). Sznajd model and its applications. Physics and Society. Retrieved from http://arxiv.org/abs/physics/0503239