being qua being

情報的な何かと政治的な何か

子供には伝えなければいけない?20年後、日本の公共サービスは破滅する!【その1】

市民ホールに文化会館、福祉施設にプールや体育館、当たり前のように存在している公共施設は当然のことながら住民の税金で運営されている。意外と使いこなしている人は少ないが市民センターのジムやプールは一回300円程度であることが多く、毎月1万円を支払う民間のフィットネスクラブより確実に安上がりである。

こうした公共施設は公の施設である以上これからも永久に使えると思いがちだ。実際に全国に存在する公共の体育館は2011年度前年より24施設増加した。しかし全ての公共施設を見ていくと増えるばかりではない。例えば地方自治体の運営する病院は前年度より18施設減少しているし、市民センター、公会堂は3施設、プールに至っては60施設も減少しているなど全体として減少傾向にある*1

この傾向は人口が減少し、生産年齢人口の現象に歯止めが掛からない日本において止めることができない。それはつまり、今は当然のように存在する公共施設を当然のものではなくしてしまう。なぜなら高齢化のスピードに施設の維持が追いつかなくなるからだ。

それだけではない。現在運営されている施設のほとんどは高度経済成長期の昭和30から50年代に建てられたもの*2で、既に建て替えの時期を迎えているものが多い。現在の公共施設の10%が昭和50年台に竣工された施設であるという*3

f:id:hapwish:20140515141254j:plain

こうした問題に対して多くの地方自治体は認識はしているが、抜本的な解決策を講じている自治体は少ない。なぜなら「誰もやらないから」だ。前年度を踏襲してきた彼らには公共施設の閉鎖や整理といった改革はできない。だがもはやこの問題は差し迫ったものになっている。彼らが手に入れる事のできる給与の元を辿れば、今後20年のうちにどういった結末が予想できるかは明らかだ。

こうした地方自治体の問題に対して解決することはできるのだろうか。実はこの改革に取り組み始めた自治体が存在する。神奈川県秦野市は「公共施設更新問題」を重要な問題として、本格的にこの問題に取り組み始めた最初の地方自治体である。

秦野市は平成24年度には52%の施設が築30年以上、平成30年には70%の施設が老朽化しその維持費用と更新費用は、既に税収が減少している市の財政をさらに圧迫することが確実とされている。税金を納めている生産年齢人口は平成10年あたりを境に既に減少傾向にあり、20年後には昭和60年と同数の生産年齢人口で、当時より1.4倍多い公共施設を支えなければならないという。

さらに高齢化は進んでいるため、高齢者と生産年齢人口の比率も急速に悪化している。昭和60年には10人の若者で1人のお年寄りを支えていたが、20年後には若者2人で1人のお年寄りを支えなければならなくなる。この状況で公共施設を維持するには、単純計算で5倍もの負担を若者に強いる必要がある。*4

さらにさらに、もう一つ根深い問題がある。これまで私はあえて箱モノを取り上げてきた。そこでこう思った人もいるだろう。「箱モノはもう減らすしか無いし、無くしても問題ない。その分の維持費を道路とか上下水道や教育に回せばどうにか持続可能なのではないだろうか?」と。

しかし、現実はさらに深刻であることがわかっている。必要な公共施設を無くしても、道路、上下水道、教育を賄うだけの費用もままならないのだ。それでもなお、道路と下水道の整備は今なお増え続けているというからもはや金銭感覚がおかしいとしか言いようがない。既に過去発行した公債の償還は財政への負担になっている上にさらに整備を進めているのである。秦野市ではすでに歳入の2倍近い市債残高があるがこれはまだ全国的には少ない方である。

地方財政が悪化していることについては耳にする機会も多いと思うが、依然として危機感は全くない。確かに財政の豊かな都市部に住んでいる住民にとっては実感のわかない問題であることは確かだ。しかしながら地方交付金に頼った運営をしている自治体がが多い以上、地方自治体の財政破綻は結果的に国民の負担によって補われる。これからも夕張市のように財政再建団体に指定される地方自治体は増え続けるだろう。

このような現実を認識した上で日本とともに沈むことさえ良しとするならそれでも構わないが、1人の人間としてはこのまま泥船にしがみつくのはまったくアホらしい話だ。

次回はこうした問題に対する取り組みや解決策について紹介していきたい。

*1:総務省地方財政状況調査関係資料|公共施設状況調経年比較表 http://www.soumu.go.jp/iken/shisetsu/index.html

*2:例を挙げるとすれば、テレビ東京噂の東京マガジンで取り上げられた浜松市教育文化会館(はまホール)は昭和37年竣工で耐震性の弱さを指摘されて閉鎖予定である http://www.hcf.or.jp/facilities/hamahall

*3:秦野市公共施設白書 https://www.city.hadano.kanagawa.jp/saihaichi/shise/gyose/shisaku/h-shisetsuhakusho.html

*4:もちろん現実には生産年齢人口の世代へ負担を大きくすれば、他の自治体に逃げ出すのでさらに悪化するだろう。