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情報的な何かと政治的な何か

日本の経済学部Ph.D取得教員数から見る経済学部への進学

「経済学を学びたいので経済学部へ行く」という高校生はおそらく数%もいないだろうが、将来経済学を極めたいと考えたり、エコノミストとして国際機関で働きたいと思った時にそれ相応の勉強をしていなければ、その職にありつけることは不可能である。

ということで今回は経済学を学びたいというなら日本ではどこの大学がグローバル社会の中でそれなりのレベルの教育が受けられるか考えてみた。

「日本で経済学を学ぶなら東大しかない?」

そうとは言われているものの、一流の研究者を目指す人ならともかく、そうでなくともある程度のレベルの経済学を学びたいと考えればどこに行くのがいいのだろうか。今回は単純に「欧米のPh.D取得者が多い大学」をそれなりにグローバルな経済学部とみなして調べてみる。これは単に大学のグローバル化を論じた時に留学生の割合を増やすのと同じくらいグローバル度を示していると考えられるからだ。

そうすると経済学部のPh.D取得者はこのデータに基づいて「大学ランキング-経済学部Ph.D取得教員数 : 博士号の研究 http://hakushigo.exblog.jp/14387952/慶應義塾大学は83人中31人(約37%)、一橋大学は60人中32人(約53%)、大阪大学は45人中5人(11%)、京都大学は53人中8名(約15%)東京大学は53人中28人(53%)となっている。やはり、東大が圧倒的だが、意外と一橋も健闘してるようだ。(データは大阪大学京都大学のみ2014/01/30現在のものに更新、なお付属研究所は教育を行なっていないため除外)

早稲田経済のPh.D取得教員数

しかしながら、ぱっと見れば分かるようになぜかこれらの大学に早稲田大学は上がっていない。早稲田が嫌いだから比較対象外なのか、話にならないからなのかわからないが、慶応があるなら早稲田も載せるべきだと考え一応調べてみた。結論から言えば、2014/01/30現在は44人中13人が海外大学での博士号取得者(約30%)だということがわかる。


秋葉弘哉教授 ニューヨーク州立大学ビンガムトン校Ph.D(応用経済学)
有村俊秀教授 ミネソタ大学経済学研究科Ph.D(経済学)
上田貴子教授 ウィスコンシン大学マディソン校Ph.D(経済学)
上田晃三准教授 オックスフォード大学セント・アントニーズ校D.Phil(経済学)
小倉義明准教授 コロンビア大学経済学研究科Ph.D(経済学)
清水和巳准教授 グルノーブル大学経済学博士
中村愼一郎教授 ボン大学経済学博士Dr. rer. pol.
野口晴子教授 ニューヨーク市立大学Ph.D(応用経済学)
福島淑彦教授 スウェーデン王立ストックホルム大学Ph.D(応用経済学)
松本保美教授 オックスフォード大学大学院D.phil(理論経済学)
本野英一教授 オックスフォード大学D.Phil(東洋史学)
藪下史郎教授 イェール大学経済学研究科D.Phil(経済学)
山本竜市准教授 ブランダイス大学Ph.D


こうして見れば、なんとなくヨーロッパ系の香りがする。それは置いておくとしても、東大、一橋、慶應義塾には及ばないものの(ファカルティの人数的にも)この指標においては意外と健闘している。海外大学で博士号を取るというのも容易なことではないから、(だからといって国内は容易であるというわけではない)教授のレベルを図るための指標として、早稲田の経済学も一定の質は維持しているのではないかと思われる。

せっかく調べてみたので、東北大学も調べてみることにした。結果39人中2人という誠に残念なことになっている。(会計専門職専攻はあまりにも分野が異なるため除外したが、入れた場合はさらに悲惨な結果になっただろう)


川名洋教授 レスター大学大学院経済社会学部都市史研究所Ph.D
井深陽子教授 ラトガース大学Ph.D.(経済学)


調べては居ないが北大、九大およびその他の大学については推して知るべし…(意外に健闘している大学が他にあれば教えてほしい)見落とし等あるかもしれないが、比率的には大きく違わないだろう。

Ph.Dホルダーの講義や指導を受けたいなら?

したがって、経済学系の科目に関心があって、さらに海外である程度のトレーニングを受けている先生に指導を受けたい場合、候補となる大学は、東大、一橋、慶応、早稲田、その他となるだろう。もちろんこの指標はインパクト・ファクターといった学術貢献度や、授業のわかりやすさ、面白さといった教育の質までを担保しているわけではない。

付け加えれば、京都大学大阪大学は付属の研究所があるため、そちらに欧米の大学で博士号を取得した先生が多数いらっしゃる。例えば大阪大学の場合は社会経済研究所において半数がPh.Dホルダーだという。http://degreemill.exblog.jp/15698563/しかしながら、学生が実際に指導を受けられるわけではないので今回は考慮しない。

経済学における世界大学ランキング

単純なPh.D数では学問的貢献は測れないので、経済学における世界の大学ランキングを見てみよう。IDEAによると経済学の世界トップ25%大学に東京大学が90位でランクインしている。シンガポール国立大学が127位、韓国の高麗大学が125位、ソウル国立大学が178位、中国の清華大学が135位である。

またQSによれば東京大学は25位、京都大学は49位、ソウル国立大学は45位、北京大学が35位、清華大学が37位、シンガポール国立大学は17位なのでやはり東大は日本では圧倒的にいい教育を受けることができる。


ということで、Ph.Dホルダーのもとで経済学を勉強したいなら東京大学。それ以外を上げるとすればレベルは落ちるが、一橋大学慶応義塾大学、早稲田大学あたりがギリギリ教員を揃えている。京都大学大阪大学は大学全体で見ればかなりレベルの高い研究をしているが、経済学部に入学した場合、学生が指導を受けられる先生というのはかなり限られているように思えるので注意が必要だ。