being qua being

情報的な何かと政治的な何か

【書籍要約】『国際政治経済(シリーズ国際関係論)』

 Sen. John Kerry
Sen. John Kerry / Center for American Progress Action Fund

ずっと前に読んだ国際政治経済学の教科書の要約をまとめておく。

国際政治経済 (シリーズ国際関係論)

国際政治経済 (シリーズ国際関係論)

 

 ざっと読んでみて政治学や比較政治経済学、国際政治学などの定期試験対策から大学院試験の対策までの初級から中級レベルの国際政治の勉強に適している。

実際に私も大学院入試の頃、この国際政治経済 (シリーズ国際関係論)と、現代国際関係学―歴史・思想・理論 (有斐閣Sシリーズ)を中心に基礎を固めた(気がする)。全く基礎的な知識を覚えていないという方はもちろんのこと、ある程度の知識がある方でも、徹底的な用語の理解は、さらに高度な専門書を読むにあたっても必要となるので、一読をお勧めしたい。

以下は簡単な国際政治に関する用語の解説をまとめたものである。

ダールの制度論

多元主義理論では経路依存性は、政策的惰性、漸増主義という概念で説明できる。拒否点が多ければ多いほど新たな制作導入、急な政策変更が困難。

ダール1956"A Perface to Democratic Theory"

 

生産性の政治

社会的分岐や対立は、分配する財が乏しい状態で生まれると考えられるので、より多くの財を生産し、豊かな社会を実現すれば、分配上の不公平は無くならないにせよ、全ての者が衣食住の基本ニーズを充足することが可能となる。

政府は直接分配に介入し、階級的対立を煽る愚を避け、生産性向上に注ぐことが賢明。

The politics of productivity: foundations of American international economic policy after World War II CS Maier - International Organization, 1977 - Cambridge Univ Press

市場経済がもたらす社会的緊張・対立を緩和し、自由主義経済を維持、正当化するためであり、したがってそれは「埋めこまれた自由主義」を支える柱の一つであった。

ケインズ主義に呼応

 

ウォルツの第3イメージ論

国際関係を人間の本性や国内政治経済制度に還元するのではなく、国際システムのそれ自体の構造的特徴から説明する。つまり国際システムレベルに固有の国家間の権力分配から国家の行動を見る。

⇨P.グルヴィッチの逆第2イメージ論

国際関係が国内政治経済に与える影響に注意を促し、国際的経済危機が一国内の支配的経済政策連合の再編を促すことを明らかにした。

 

ロゴウスキー理論

自由貿易はその国で豊富な要素の所有者や利用者に利益をもたらし、保護主義はその国で乏しい生産要素の所有者や利用者に利益をもたらす。比較優位のヘクシャー=オーリーン・モデルを援用

 

収斂と多様化

工業化が進展し、誰もが基本ニーズを満たすことのできる豊かな成熟社会が実現すれば、左右のイデオロギー対立は無くなる。東西対立、冷戦の深刻化というなかで、民主主義体制と経済的繁栄の相関関係を強調することによって、とりわけアメリカの政治経済レジームの優秀性、正当性を主張するイデオロギーとなった。

D Bell - New York, 1960 - ilet.gazi.edu.tr-The end of ideology

 

政治システムとしてのコーポラティズム

政策決定過程、利益政治のあり方、利益団体の内部構造、団体交渉制度のあり方などの、多くの次元を含む概念を言う。特に巨大な労働組合が果たす役割の重要性が強調される。社会主義政党とそのパートナーである巨大な労働組合が政策形成・実施において特権的な地位を与えられている。

⇨戦後和解の理論的基礎

戦後和解とは…

政府がケインズ主義に基づく積極的な経済介入を行う一方で、労働者と大企業の協調関係が生まれ、未曾有の経済成長と社会的安定が実現した。政府が完全雇用、高賃金、充実した社会福祉の提供を政府の責任とみなすようになると同時に、労働者はその見返りとして賃上げなどを抑制する協調のこと。

労働者も資本家も自らの現在の利益だけではなく、将来の利益をも考慮して合理的行動を行うとした点が鍵である。包括的な労働組合と強力な経営者団体が存在する場合には、安定した「階級間妥協」が成立する。コーポラティズム諸国では、このように労働者に有利な条件のもとで「階級間妥協」が成立してた。

Capitalism and social democracy - Przeworski

 

あくまでもざっと復習する程度ならこの本と『比較政治経済学(有斐閣アルマ)』で十分だろう。 

比較政治経済学 (有斐閣アルマ)

比較政治経済学 (有斐閣アルマ)