being qua being

情報的な何かと政治的な何か

加藤嘉一氏講演「日中若者が築く新しい日中関係の姿」

  • 講演内容 

*同時にメモを取ったため、書き起こしではありません。補足したり、わかりやすく変えたりしたところもあります。内容については出来る限り再現したつもりですが、違った意味で捉えている面もあるかもしれません。必ずしも加藤嘉一氏の真意通りのものではないことを留意してください。

(頭15分程度メモをとっていませんでしたが、簡単な経歴など著書に書かれていたような内容をご説明なさっていました。)

  • 定期的に首脳の交流があることが大切、大学生、若者としての発信には限界がある。それは政治の壁。反日感情。歯がゆい思いをしている人が多い。
  • 靖国問題はカードにしてもいいと思っている。
  • 大学の交流プロジェクトは増えてるが、中国の勢いはすごい。日本の若者はなかなか一歩を踏み出せない。(大学関係者に向けて)ダブルディグリーや大学間の相互単位などが増えて環境が整うことで、日本の若者もかなり行きやすくなる。
  • 中国がこれからどんどん成長しているところにたまたま私はそこにいただけだ『環境は人を変え、時代は人を作る。』(加藤氏が中国語でも同じ意味の言葉を言う)まさに、私が時代に乗っただけである。
  • 外に出ることで「日本って何なんだろう。日本として、日本人の豊かさって何なんだろう」(日本の長所や短所)ということがわかる
  • 中国の今は、高度経済成長期に日本が発展するなかで経験してきた、環境問題、少子高齢化などの負の影響が「同時に」現れている。
  • 今の中国は政局は安定しているが政治は安定していない。日本ができることはある。
  • (日本のテレビでやっているような)30人31脚なんてできない。中国の人はあれを見たら驚く。それは拝金主義や利己主義がはびこっているからである。中国には相互主義の概念が欠けている。中国は戦後日本がやってきたような課題解決型国家を求めている。
  • 中国のカードはレアアースを含めてかなりあるが、日本も「課題解決型国家」として、中国が直面している問題をつかむことが大切
  • お互いに足りないものが相互にある。日中は鏡の関係。共同作業のなかで競争を持ち込む。健全な愛国主義を育てる。「あの北京大生は英語がうまい。負けたくない」互いに学ぶ精神が生まれる。
  • 男性、年配者、日本人日本を支えてきた時代だったが、これからは「女性、若者、外国人の時代」になる。日本の中で眠っている潜在能力を掘り出すことが大切。そのためには若い人間の共同作業が重要だ。
  • 北京大学時代)11時消灯後外の街灯で暗唱している中国人を見て「負けられない」と思った。若い世代だからこそ、互いを認め会える。大学という自由の場で日中相互の大学が競争し合う関係にしたい。最近はパスポート(学生証)がないと大学に入れないなど本末転倒なところがあるが...
  • 「たすきを繋ぐ」ような関係に。そのために第三者(他の外国)のパワーを使う。変なプライドやナショナリズムを押さえる。議論に英語を使うのも責任を第三者に押し付けることで逆に変にナショナリズムを爆発させることを防ぐ。
  • 大使館でビザを拒否されたり、中国人というだけで驚異に感じられたりするなかでそれでも外に出ようとする中国のパワーは本当にすごい。
  • (留学することで)国がどのように上っているかを体感することが大きな意味を持つ。ポストバブル世代の私は以降の若者の世代は全く日本のいいところを見ていない。それでは外へ出るパワーもでない。しかし今の中国ではパワーを感じることができる。日本の大学生だけでなく、高校生から中国で体感してほしい。
  • 日本のパスポートの信頼の高さについての話。今まで築いてきた実績「どのようにここまで築いてきたのか」を考えることが大切
  • (今日本で研究している中国人が加藤嘉一氏と話した時)「安定した日本、成長する中国。どちらを選ぶか。でも中国で働くしか今行くしかない。」こういう、葛藤ができることはいいこと。今の中国はダイナミックに成長することができる。
  • 日本人にとって中国は「ローリスクハイリターン」
  • 百年の間のシンボリックな出来事。辛亥革命、改革解放の二つ。孫文も蠟小平の日本に来て、強い影響を受けた。改革、革命に日本が与えたものは大きい。切っても切り離せない関係。
  • 質疑応答

Q:「アイディンティティーの問題。加藤さんのアイディンティティはどのように変化しているのか」
A:「外に出たことによって、私の日本人としてのアイディンティティが逆に強くなっている。グローバル化すればするほどそういった意識は強くなる。その矛盾する関係を共同作業で溶かしていく。そのために今日のようなフォーラムがある。」


Q:「北京と東大だけでなく、京論壇を地方に広げていく計画はあるのか」
A:「北京、東京といったものではなくて、できる限り多様な中国、日本を広げていきたい。将来は京論壇基金を作ろうと考えている。」


Q:「第三者をうまく使うと言っていたが、第三者を使うとコミュニケーションに限界があるのではないか? 」
A:「日本語もできて中国語もできる人は少ない。多くの人は自国のメディアを通して多くの人は情報を得る。そのなかでたくさんのメディアがあることはいいこと。コミュニケーションは日本語でできる場合もあるし、英語でできる場合もある。多様な方法があってもいい。客観性を高めることができる。

また、日本人で同時通訳を目指している人が減っている。逆に中国人は増えている。日本人は真面目だけど競争が少ない。中国語を使ってビジネスができる。相手が用意した通訳を使って「ありがたい」などといっているのはありえない。相手が用意した通訳に任せるということは相手に主導権を握らしているということ。それでいいのですか?


Q:「(台湾留学帰りの大学職員)日本の潜在的なパワーがあると仰っておられたが、日本は出る杭は打たれるというか、そういう人がどのようにチャンスを与えられるのか。声をあげていけると思うか。」
A:「中国に行った時自分に課したことは「アクション、責任感、リスク」の3つ。日本の社会的構造があって簡単には崩せないが、僕が思っていたよりは案外受け入れられている。政治家、メディアも若い人間と議論しようという意気込みは感じる。アクションを起こせば答えてくれるようになってきていると思う。


Q:「(日本人女性)宇宙開発などの最先端分野で日本は仕事がしやすい環境を整えるのが難しくなっている。」
A:「私が連想したこと。人材をどういうプロセスで育成するかということですよね?日本は肩書きなど内面以外のところで評価されることが多い。中国も能力があっても蟻族などの就職できない人がたくさんいる。北京大学など一部だか見ていては本当の中国を知ることはできない。

ただ、人材の流動化はすごい。官民の人材の流動性はある。ただシステマティックな制度になっていないのは問題。何事も「ホップ、ステップ、ジャンプ」」


Q:「(中国人男子大学生)東アジア共同体について研究したい。両国の国民理解の程度。94年くらいは共同利益があったから仲良くなれた。尖閣は相反する利益だからどれだけ理解してもうまくいかないのではないか? 」
A:「冷戦時はソ連という共通の敵がいた。それが崩壊して何をもって手を携えて協力すべきかが見えなくなってきたのは事実。だが歴史の必然。交流が増えたからこそ摩擦が増えた。夫婦のようなもの。(会場笑い)
これからも日本に来る人もいく人も増える。いろんな問題に直面しているのか交流が増えた結果。問題をうまくマネージメントしていくことが大切。昔に戻れますか?戻れないのです。

安倍さんは就任前は靖国にいっていたが、首相としてはいかなかった。これは日中の経済を考えた結果。経済、民間の交流が増えた結果、政治が国民にたいして妥協した。これからは日中の共同開発や作業、目標を作ることが大切。」



Q:「(中国人女子大学生)留学生は自分の勉強など学生生活のことしか考えてなくて、回りの外国人に日中関係の改善をしたいなど、影響を及ぼすとこを忘れている。どのようにして影響を与えればいいか」
A:「問題意識が明確でこのまま、まずはできることからやってほしい。中国関係のサークルを立ち上げるとか。できることをやってる人は多いけど、そこに明確なビジョンがある人は少ない。けどあなたはちゃんと持っているから僕から言うことはない。けど、そうした行動するときに日本は確かにやりにくい。だからそういうときは僕にメールください。
日本にいるから見える中国がある。中国にいるから見える日本がある。一緒に頑張りましょう。」



Q:「(天津に留学していた大学生)歴史というだけで話が平行線で中国人と議論が進まないことが多いがどうすればいいか?」
A:「日本には「こういう意見があるんだ」と発信することすら、中国のもっともリベラルな誌面でも投稿できなかった。だからこれは大きな問題で私も考えている。しかし議論を平行線に持っていくだけで、素晴らしい。日本はこうなんだと自分自身の言葉で言う。色々な意見があるということ、価値観がたくさんあるということを示す。そうすれば向こうも答えてくれる。


意見:「(駐在員の奥さん)皆さんのお母様世代。何十年も住んでいて中国の大学にも通ったなかで、ここ10年の発展は素晴らしいが何十年も前から交流は続いている。焦らないで若い世代もついでほしい。」


Q:「(学者?)教育の愛国心、国を守るのも愛国心というのには反対。(先日の文科省会議で加藤さんは「すべての30代の日本人を老人ホームに送り込む」という意見を言ったらしく、その反論を言いに来たらしい)」
A:「日本人は我慢強くて従うが、安易にそうなるのは逆に問題だ。国民国家の一員としての意識が低い。日本の立場を自分の言葉で発信しないといけない。(その先日の文科省の会議では)「先が見えない、外が見えない」日本人にたいして、先を見させる老人ホームのボランティアの制度化を提案した。」


Q:「中日間のマスコミは重要だが今後は?」
A:「彼女は自分の意見を言うときは「中日 」といい、私には「日中」といった。こういうところでアイデンティティーが自然と出る。そういったことを理解していることに敬意を表したい。

日本には「空気」という面で言えないことがある。メディアに責任を擦り付けるのはやめましょう。メディアの多様性を重視したい。日本も中国も似かよってきている。相手をうまく説得する。メディア相互の協力によって単なる情報ではなくてインテリジェンスとして機能するようになる。


加藤嘉一氏のおっしゃった意図通りにメモできていない部分もあるかと思いますので講演を聞かれた方はぜひ間違っている所などあればご指摘いただきたいと思います。